ポーカーの3bet (スリーベット) はポーカーを始めてそれなりの時間が経てば、自然に耳に入る用語。
実はこのポーカーの3bet、理解していない人は、トーナメントでもキャッシュゲームでも必ず長期的には勝てないです。
ただ実際どういう意味なのか、どうやって使えば利益が出せるのか.....
そんな方のために、この記事ではポーカーの3betについて徹底解説します!
- ポーカーの3betとは?
- 3betを使わないと勝てない理由
- ポーカーの3betがもたらすメリット
- ポーカーの3betの効果的な使い方
- プロから学ぶポーカーの3bet
ポーカーの3betの技術は勝つためにとても大事!
ポーカーの3betとは?意味をわかりやすく図解!
ポーカーはハンドごとに「ボタン」と呼ばれる親が周り、その左の2人が「ブラインド」と呼ばれる場代を払うルールになっています。(中級者向けなので割愛)
アクションはブラインドを払う次の人から始まりますが、そこで最初にレイズした時は「オープン」。その「オープン」に対してさらにレイズすることを3betといいます。
また、仮にその3betに対してさらにレイズしたら、それを4betと呼びます。
ポーカーの3betは自分のハンドを強いと主張している行動です。
ポーカーで3betを使わないと勝てない!2つの理由で解説
ポーカーは時代とともに打ち方も進化し続けてきました。
僕個人の感覚でいうと、以前は心理戦重視だったことに対し、今は数学(確率)重視になっています。
ポーカーの3betスキルは15~20年ほど前だとAA、KK、QQ、AKなどのプレミアムハンドだけで使われることがほとんどでした。
しかし、それからのアメリカの一時のポーカーブームを経て、戦略論や数学の観点から、色々なハンドで3betをした方が長期的に利益を生むことがわかってきました。
その理由2つをそれぞれ解説していきます。
- 自分のハンドを読まれやすい
- 相手に主導権を握られる
ポーカーで3betを使わないと自分のハンドを読まれやすい
先程も述べたように、3betは自分のハンドが強いと他のプレーヤーに主張しています。
そこでもし、プレミアムハンドだけ3betしていたら、他のプレーヤーはすぐ勝負を降りてしまいます。
他のハンドも混ぜて3betを使えば、他のプレーヤーもいつ本当に強いハンドを持っているのかわかりにくくなり、ハンドが読みづらくなります。
ポーカーで3betを使わないと相手に主導権を握られる
ポーカーはハンドの強さだけで競うゲームではありません。もしそうであれば本当にただの運ゲーです。
例えば、配られたカードがA♥K♦だとします。まだプリフロップの時点ではとてもいいプレミアムハンド。
自分より前の人がレイズして、3betせずにコールしたとしましょう。
フロップで出てきたのが6♣、8♥、10♠、相手がbet。コールするのはとても長期的に利益的だとは思えません。
ターンで2〜Qまでの関係ないカードが出てまたbetされたら降りざるを得ません。
よって、長期的に期待値はマイナスになります。
ポーカーで3betがもたらすメリット
ポーカーで3betを使えないと長期的に勝てない理由を述べました。
では、逆に3betをうまく使うとどういうメリットがあるのでしょう?ポーカーの3betの3つのメリットを詳しく解説します。
先程AKのハンドで3betを使わないと相手に主導権を握られる説明をしました。
では同じ例で、3betを使うとどうなるのかを見てみましょう。
- プリフロップで相手がそのまま降りる
- コールしてきてもフロップbetで取れる
- AやKが落ちたら大きなポットが勝てる
ポーカーで3betを使うことで相手が降りる
相手がレイズして、自分がAKで3betします。
まず第一のメリットとして、相手がそのまま降りる可能性があること。
その時点で相手のレイズした額とブラインドが利益になります。
ポーカーで3betを使うとコールされてもフロップbetで勝てる
さっきと逆のパターンです。
AKで3betしてコールされました。
フロップで出てきたのが6♣、8♥、10♠、ここでさっきと違うのは自分がポットの主導権を握っていること。
3betした我々のハンドレンジは1010〜AAのようなプレミアムハンドがあります。
ここで主導権を握っている我々がbetして、コールできるのは10のペアがあるハンドやJ9のようなストレートドローのみ。
もちろん人によりますが、99まで降ろせる可能性もあります。
なので、最初からアグレッサーになって、ポットの主導権を握っておくことが大事なのです。
ポーカーで3betを使うと大きなポットが勝てる
ポーカーで3betを使うとレイズしているわけですから、もちろんポットの金額も大きくなります。
相手が$10レイズして、AKでコール。
フロップでAかKが出て自分のbetで相手が降りた時、利益は$10です。
相手が$10レイズして、AKで$35に3bet、相手コール。
フロップで自分のbetで相手が降りた時、利益は$35です。
1ハンドだと利益差はたった$25ですが、これが一日、一ヶ月と続いた時、利益は大きな差になります。
ポーカーの3betの効果的な使い方
もちろん、ただむやみに3betしていても、無駄にポットを大きくして負けが大きくなるだけ。
ポーカーの3betスキルには、効果的な使い方があります。
先程も述べましたが、ポーカーは時代とともに進化して、確率を研究され続けてきました。
ポーカーで3betするのに勝率の高いと言われているハンドの種類を紹介していきます。
- A2~A5 suited
- 小さなポケットペア
- スーテッドコネクター
ポーカーの3betレンジにA2~A5 suitedを入れる
suitedは同じ柄のことを指します。
6♥7♥は67 suited、10♠J♠は10 J suitedと言います。
suitedのハンドだと、フロップの後のプレーの幅が広がります。
なお、A2 ~ A5はストレートの可能性もありますし、Aがあるので、例え相手が99 ~ KKなどのビッグペアで3betをcallされても勝率は30%以上あります。
ポーカーの3betレンジに小さいポケットペアを入れる
これは先程のA2 ~ A5 suitedとは逆。
もちろん相手がペアではなく、AQ、AJやA2 ~ A5 suitedで3betをコールする場合もあります。
相手にペアがない場合、小さいポケットペアでも勝率は半分以上。
そして、小さいポケットペアを3betレンジに入れるのはもう一つメリットがあります。
それは相手が99 ~ KKなどの大きいペアでcallした場合、もしフロップ後でセット(スリーカード)が当たると大きなポットを勝てます。
持ち金が100bbくらいならall inまで持っていけるでしょう。
ポーカーの3betレンジにsuited connectorを入れる
suited connectorとはその名の通り、同じ柄でつながっているもの。
6♦8♦や4♣5♣、9♥10♥などのことをsuited connectorと呼びます。
前提として理解してもらいたいのは、suited connectorで3betしてコールされた場合、その時点ではほとんどの確率では負けています。
suited connectorでの頻繁な3betはおすすめしません。ただ、suited connectorを3betレンジに混ぜることでのメリットはあります。
まず、suited connectorで3betした時、相手からハンドを読まれることは難しい。
3betした時点でAK、AQや99 ~ AAなどのハンドと相手は予想します。
なので、これを3betレンジに混ぜておくことで、例えその一回のハンドで負けたとしても、テーブルの他プレーヤーが「suited connectorでも3betしてくるぞ」と思ってくれれば、AA、KKなどの本当に強いハンドを持った時に相手が支払ってくれるのです。
ポーカープロから学ぶ3betの使い方
ここでは、ポーカープロが実際にポーカーのキャッシュゲームで3betしたハンドを紹介していきます。
少し古いものになりますが、やはりプロ。
とても鋭い読みで巧みに3betのスキルをフル活用しています。
ポーカープロから学ぶ3betの使い方1. Tom Dwan v.s. Daniel Negreanu
Tom Dwan (トム・ドワン)は世界的に有名なポーカープレーヤーで、10~15年ほど前は世界で一番強いキャッシュゲームプレーヤーとして知られていました。
Tom Dwanについて知りたい方は▼
Daniel Negreanu (ダニエル・ネグラヌ)も同じく世界的に有名なポーカープレーヤーで、トーナメントでの賞金総額はなんと世界2位。
Daniel Negreanuについて知りたい方は▼
このハンドは2006年に放送されたHigh Stakes Pokerのキャッシュゲームでのこと。
ブラインドは$400/$800、$1600のstraddleからのスタートです。
出典元:YouTube
Preflop: ドワンがAKで3bet
ネグラヌが$6,500にオープンしたのに対して、ドワンはA♠K◆で$23,600に3bet。
ドワンは積極的なプレーをするプレーヤーで、色々なハンドで3bet、4betして他プレーヤー翻弄することで有名。
なので、ネグラヌはJ◆8♠の弱いハンドでも、ドワンの3betをコールしてしまいます。
Flop ($49,800): ドワンが3betの主導権で続けてbet
FlopがA♥J♥A◆。
解説も話していますが、これはネグラヌにとってはとても悪いflop。
なぜならAが2枚出たことで、ドワンもAを持っている確率がグーンと下がるから。
ネグラヌのハンドは今の時点ではAとJの2ペア。(AAJJ8)
ここで、ネグラヌが想像できるドワンのハンドは以下の通り。
ドワンは色々なハンドで3betして、バランスが取れているので、どういったハンドを持っているのか予測しずらいです。
もちろんAQやJJ〜AA、ドワンが本当に持っているAKも考えられますが、22〜1010、78suitedなどのハンドもドワンなら充分ありえます。
ドワンがポットの主導権を握っているので、$28,200のコンティニュエーションベット (cbet)。ネグラヌがコール。
Turn ($106,200): ネグラヌの読みが大きくハズレる
Turnで出たのはK♣。ドワンのハンドがナッツ (可能性のある一番強いハンド)になりました。
ドワンが続けて$56,600のベット。ここでネグラヌがまさかの動きに出ます。
ネグラヌ完全な読み違いで$138,600までレイズ。
トムはネグラヌを罠にかけるべく、ただコール。
River ($383,400): ネグラヌ最後は賢明にCheck
Riverは10♠。ここで一旦情報を整理してみましょう。
ネグラヌはドワンの3betにコールしてきました。
- JJやAQ、A10などの強いハンド
- まさにネグラヌが持っているようなゴミ手
この極端に強いか弱いかの2通りになります。なので、ドワンは賢明にcheckします。
なぜならネグラヌが強いハンドを持っていたらベットに対してAll in。
極端に弱いハンドならベットしてもコールしないのでブラフを待つ。
ただ、ネグラヌはここでベットしてもドワンが降りることはないと判断し、諦めてcheck。
ドワンが$383,400のポットを勝ちました。
3betを使ったからポットがこんなに大きくなった
おさらいしてみましょう。
ネグラヌが最初に$6,500にオープンしたのに対して、ドワンが3betせずにコールした場合。
Flopに入った時点でポットはまだ$15,600。3betした場合の1/3です。
これでいかにポーカーの3betで勝つ金額が大きく変わってくるか、わかっていただけたと思います。
ポーカープロから学ぶ3betの使い方2. Tom Dwan v.s. Phil Ivey
今回の主役は先程も出たTom Dwan (トム・ドワン)とPhil Ivey (フィル・アイビー)です。
アイビーは世界で一番のポーカープレーヤーと言われており、キャッシュ、トーナメント、オマハなど全てのポーカーゲームに精通しています。
Phil Iveyについて知りたい方は▼
出典元:Youtube
Preflop: ドワンが89 suitedで大きく3bet
このハンドは先程の例とは逆で、ドワンがsuited connectorの9♠8♠で3bet。
ドワンが3betする前にポットには$17,600あります。
ここで仮に他の人全てが降りたら、ドワン89 suitedで$17,600を手にします。
QQ ~ AAのようなプレミアムハンドでなくても、大きな利益になりますよね。
今回の場合、アイビーがA◆6◆でコール。
Flop ($70,700): ドワンはハンドを作れずとも主導権でbet
まず注目してほしいのはポットのサイズ。Flopに入った時点で$70,700あります。
これも上記で紹介した3betの大きなメリット。
Flopが10◆Q♣K◆。
ドワンは何もないにも関わらず、$45,800のコンティニュエーションベットします。
先程紹介した、対ネグラヌのハンドでは、ドワンは本当にプレミアムハンドで3betしていました。
なので、アイビー目線から考えられるドワンのハンドは1010 ~ AA、やAKなどのプレミアムハンドである可能性が非常に高いです。
しかし、アイビーもフラッシュとストレートドローという大きなポテンシャルのあるハンドなのでコール。
Turn ($162,300): ドワンはあくまでプレミアムハンドを演じる
Turnで出たのは3♠。ブランクです。
ここで、ドワンは諦めずにプレミアムハンドを演じて$123,200のベット。
アイビーは2つの理由でコールします。
1つはもし仮にドワンがKKやQQのようなビッグハンドで、最後にストレートかフラッシュができれば、ドワンの持ち金を全て支払ってもらえる可能性が高いから。
2つ目は、可能性は低いですが、ドワンが今のように本当に何もなくブラフしている可能性があるから。
River ($408,700): ドワンが世界一のプレーヤーにビッグブラフ
Riverが6♣。
アイビーにペアができましたが、実質ブランクです。
ここでドワンが3つ目の弾を発射します。$268,200のベット。
これがドワンがドワンでいられるゆえんでしょう。懇親のビッグブラフ。
アイビーは必死に考えるも、倒せるのは本当に可能性の少ない78や89しかないので、長考のすえ降りました。
3betを使ったからプレミアムハンドを演じることができた
ここでこのハンドを振り返ってみましょう。
ドワンは自分はプレミアムハンドを持っていると最後まで主張しました。
もしPreflopの大きな3betがなければ、結果はこうならなかったでしょう。
ただ注意したいのは、今回ドワンはうまくいきましたが、必ずこうもうまくいくとは限りません。
時と場合に応じて、ポーカーの3betを活用しましょう。
ポーカーの3betは勝つためには不可欠なスキル
ポーカーの3betについて詳しく解説してきました。
ポーカーで長期的に利益を出すためには、いかにこの3betスキルが大事かわかっていただけたと思います。
- 3betで相手にハンドが読まれにくくなる
- 3betでいいハンドが来た時に利益を出せる
- 3betで大きなポットが勝てるようになる
以上がポーカーの3betについてでした。
ポーカーを学んでいく上で避けては通れないスキルなので、ぜひ実践で使ってみてください。