ナッツは、ゲームを一変させる要素です。
ナッツの有無が、そのままポーカーでの有利不利や、アクションの戦略に大きく影響してきます。
したがって、ナッツの存在を考えることなしにポーカーを語ることはできません。
この記事では、ポーカーのナッツについて解説していきます。
- ナッツの意味
- ナッツを生かした戦略
- ナッツアドバンテージ
是非最後まで読んでいただき、ナッツについて知っていただけたらと思います。
ポーカーのナッツとは?用語の意味を解説!
ポーカーのナッツ(nuts)とは、現状最強の手のことです。
最強の手というだけあって、ナッツを持っている時、オールインになってショーダウンになれば、確実に勝っています。
同様に2番目に強い手をセカンドナッツ、3番目に強い手をサードナッツと呼びます。
いずれにせよ、ナッツを持っていたのなら、相手のスタックを根こそぎ奪い取るチャンスです。
ナッツの言葉の由来は?
ナッツの由来と言える説を1つ紹介します。その由来は、アメリカの開拓時代にまで遡ります。
当時ポーカーをプレーしていた開拓民たちが、所持金以上のお金を賭ける時、自分の荷馬車のナットを賭けていたことを由来とする説です。
荷馬車のナットを取られれば、荷馬車は動きません。つまりナットを賭けるということは荷馬車を賭けるということに相当します。
荷馬車は、当時かなり高額なものであり、そのプレイヤーの商売道具でもあります。
これを賭けるということはかなり強気な行動だと言えるでしょう。
現代の感覚で言うと、乗ってきた車のカギを賭けるようなものでしょうか。
つまり、それだけ強い手を持っているということなのです。
ナッツは変わることもある
ナッツとは、あくまで現状負けていることがないだけの手です。
リバー時点でナッツとなれば負けることはありえませんが、それ以前のナッツであれば、相手にエクイティが残っている可能性があり、負けてしまうこともあります。
ナッツが変化したならば、これまでナッツを持っていたとしても、慎重にプレーせざるを得ません。
これまでに強気なアクションを見せていたならなおさらです。
ポーカーのナッツのクイズ!最強の手はどれ?
ここでは、ポーカーのナッツに関するクイズを3問出題します。
実戦ではボードを見て、ナッツを見つける必要があります。ここで少し練習してみましょう。
問題①
ターンの場面です。ボードが以下の場合、ナッツとなるハンドはどれでしょうか?
32のストレートです!
とはいえ、あなたを含む大抵のプレイヤーはハンドレンジに32を含んでいません。
32oはもちろん、スーテッドでも降りてしまいそうです。
なのでこの時、セカンドナッツのAAやサードナッツの99のセットはナッツと言っていいほど強いと言えます。
このように、相手や自分のハンドレンジにナッツを含まれうるかどうかも、アクションの決断に大きく影響してきます。
問題②
あなたは、A♠5♠を持っています。ターンのボードが次のようになりました。
あなたはナッツを持っているといえるでしょうか?
あなたはナッツを持っています。
このボードには、フルハウス以上の手役は見えておらず、最強の手役はフラッシュです。
その中で最強のAハイフラッシュは紛れもなくナッツであると言えます。
問題③
問題②のシチュエーションであなたはベットし、相手にコールされました。
あなたのカードはA♠5♠です。リバーのカードがA♦だったとします。
このとき、あなたのフラッシュはナッツでしょうか?
あなたのフラッシュはナッツではありません。
なぜなら、ペアボードになったことで、フルハウスやクワッズが完成しうるボードになってしまったからです。
ボードだけを見た場合、このボードにおけるナッツはA♠A♥のクワッズ (4カード)です。
しかし、あなた自身がA♠を抑えていることから、相手からA♠A♥のクワッズが出てくることはあり得ません。
よって、あなたから見たナッツはA♣K♦、A♣K♥、A♣K♣の3コンボであると言えるでしょう。
ナッツを生かして最大限に利益を得るためには?
ここでは、ナッツを生かした戦略の例を紹介します。
ポーカーにおいてナッツは何か、誰がナッツを持ちうるかの情報はとても重要な要素です。
ハンドレンジにナッツが含まれるというだけでも、相手はとても怖がってくれます。
そんな相手に対しては、ベットやレイズで積極的に圧力をかけていくことができるでしょう。
ナッツを持っている場合
ナッツを持っているなら、相手のスタックを根こそぎいただきたいところです。
ナッツを持っている時、できることは主に3つあるでしょう。
- 標準的なベットにナッツを混ぜる
- スロープレーしてチェックやコールをする
- 高いベットをする
1つ目はナッツを持っていても、トップペアくらいの気持ちで普通にベットする選択肢です。
3つの選択肢の中間と言えるかもしれません。
様々な手をハンドレンジに残すことができ、相手に広く支払ってもらえるのがメリットです。
しかし、相手のそこそこ強い手からは「本当はもっとたくさんバリューを獲れた」なんてことが起こりえます。
2つ目はスロープレーする選択です。
アグレッションが高い相手に打たせるのもポーカーの駆け引きのひとつです。
特に、相手がオーバーアグレッシブなら、ミス待ちでスロープレーするのも有力な選択肢です。
しかし、相手に手が入っていないこともしばしばで、チェックしても、相手が打ち出してくれるとは限りません。
更に、相手のドローのエクイティを実現させてしまうというデメリットがあります。スロープレーした末に、相手に捲られては悲惨です。
3つ目は、高いベットをする選択です。
そこそこ強い相手から最大限にバリューを取り、捲られるおそれのある相手のドローのエクイティを放棄させることができます。
特に、自分に有利なレンジでの高いベットは強力です。高いベットをすれば、ブラフもしやすく、ブラフしたときの期待値を増加させることも出来ます。
一方で、バリューターゲットをかなり絞ってしまうため、目先の利益だけをみるなら、コールはもらいにくいです。
この3つのアクションのどれを取るべきかは、状況次第です。
相手や自分のハンドレンジを考えたり、相手の傾向を考えたりして最適解を探してみましょう。
ナッツの一部を持っている場合
ナッツを形成できるカードの一部を持っている時、あなたはブラフを打ちやすくなります。
例えば、K♥J♠8♥5♦2♥というボードでA♥Q♠を持っていたとしましょう。こんな時、ブラフをするチャンスです。
なぜなら、相手のAハイフラッシュをブロックしているからです。
あなたがA♥を抑えていることで、相手の持ちうるフラッシュの組み合わせが減っているだけでなく、相手はナッツのフラッシュを絶対に持っていないと分かります。
これをポーカーでは「ブロッカー」と言います。
相手の強い手が相対的に減っているため、強気にベットすれば相手を降ろせる可能性が高いと言えるでょう。
ポストフロップで重要!ナッツアドバンテージとは?
あなたのハンドレンジに、相手より多く強い手が含まれる時、ナッツアドバンテージがあると言います。
ここで言うナッツは、厳密なナッツではなく、「ナッツ級のモンスターハンド」くらいの意味です。
ここでは、ナッツに関連した用語、ナッツアドバンテージについて解説します。
ナッツアドバンテージは、自分のハンドレンジと相手のハンドレンジを見比べることで見積もります。
まずはボードを見て、どちらが強そうか何となく考えてみるところから始めてみましょう。
ナッツアドバンテージがあるとどうなるの?
ナッツアドバンテージがあるとき、高いベットを打つことが肯定されます。
相手も、あなたにナッツアドバンテージあると知っているので、強気に出ることが難しく、相手は気合でブラフキャッチするか、降りるかの二択という苦しい状況に陥ります。
また、前述したように、ドローの多くの手をフォールドさせることができ、エクイティを確保することができます。
レンジアドバンテージとの違い
レンジアドバンテージとは、ハンドレンジ全体のエクイティで有利であるという意味です。
確かにナッツアドバンテージがあるとき、あなたは有利な状況であると言えますが、ナッツがあるからといって、レンジアドバンテージがあるとは限りません。
ナッツアドバンテージがあったとしても、レンジ全体のエクイティで不利な状況も考えられます。
例えば、フロップでCBを打った後のターンのアグレッサーです。
確かに、AハイボードやKハイボードの時、ナッツアドバンテージがあるのはアグレッサーですが、その手にはブラフが多く含まれます。
一方で、CBをコールした相手は、コールできるだけの手を持っていますから、ターンにおけるエクイティが逆転している可能性は十分に考えられます。
とはいえ、ナッツアドバンテージが大きくなればなるほど、ハンドレンジ全体のエクイティも上がっていきます。
そのため、ナッツアドバンテージがレンジアドバンテージを引き上げる要素のひとつであることは間違いありません。
ナッツアドバンテージの例題!どちらが有利?
ここでは、2つのフロップを見ながら、COとBBどちらにナッツアドバンテージがありそうか考えてみましょう。
【COのレンジ仮定】
【BBのレンジ仮定】
例題①
COが3BBのオープンレイズをし、BBにコールされました。
- A♠K♦2♣(Pot:6.5BB)
この時、ナッツアドバンテージを有するのはどちらのプレイヤーでしょうか?
明らかに、COのプレイヤーにナッツアドバンテージがあると言えます。
COには、AAやKK、AKが含まれていますが、BBには(スロープレーしていない限り)これらのハンドは含まれないからです。
実際に、GTO+でエクイティを調べてみると、ハンドレンジ全体でのCOのエクイティは60%ほど。かなりCO有利なことが分かります。
CB戦略として、33%betと66%betの二つを用意しましたが、計算の結果、66%betを多用しています。
このように高いベットが好まれるのは、COにナッツアドバンテージがあるからだと言えます。
例題②
例題①と同じシチュエーションで、ボードを変えてみましょう。
- 7♦6♦5♠
この時、どちらにナッツアドバンテージがあるでしょうか?
BBにナッツアドバンテージがあると言えます。
確かに、ナッツの98はどちらにも含まれていますが、2ペアやストレートのコンボ数に差が見られます。
COのハンドレンジのうち、エクイティが80%以上あるハンドは、98sや77などの13コンボなのに対し、BBには17コンボあります。
その差は43sのストレートです。これはハンドレンジの想定上、BBにしか含まれない手です。
一方で、ナッツアドバンテージがあっても、COのレンジ全体のエクイティは51%とBBよりわずかに上回っています。
このように、ナッツアドバンテージがあるからといって、BBはレンジ全体では勝っているとは言えないのです。
また、ナッツアドバンテージがないことから、COの66%betの頻度が減っており、COは33%の安いCBを多く打つようになっています。
ボードを見たら、まずはナッツを探してみよう
ナッツは何か、ナッツはどちらのハンドレンジに含まれそうかを考えるのは、あなたの現在の状況を知るうえで役立ちます。
ボードを見たら、まずはナッツは何かを見てみましょう。
ナッツを意識して戦略を立てられれば、あなたのプレースキルは一段階上がるはずです。