フィル・ゴードンによってコンティニュエーション・ベット(CB)が紹介されて以降、CBはポーカーテーブルで頻繁にみられる戦術のひとつになりました。
中には、CBに対してうまく対応できないと悩んでいる方もいるかもしれません。
この記事では、そんなCBへの対抗策として知られる「フロート」について紹介していきます。
- ポーカーのフロートが何かわかる
- フロートやレイズを用いたCBへの対抗策がわかる
- フロートされたときの対処法がわかる
是非最後まで読んでいただき、フロートについて知っていただけたらと思います。
ポーカーのフロートって何?用語の意味と使い時を解説!
ポーカーのフロート(Floating)とは、以降のストリートでブラフすることを前提に、相手のベットやレイズに敢えて弱い手でコールするプレーのことです。
そして、アグレッサーがチェックしたのを機にベットを打ち出し、ポットを獲得することを目指します。
実践では主に、フロップのコンティニュエーション・ベット(CB)に対し、フロートする戦術がよく用いられます。
フロートはCBのカウンタープレーとして知られ、CBを打ちすぎるプレイヤーに対して効果を発揮します。
フロートとはこういうプレーのこと!
COのレイズにBTNのあなたはT♥9♥をコールします。
このハンドはレイズすることも有力ですが、ここではあえてコール止めしたとしましょう。
COはポットの33%の小さなCBを打ってきました。
現状あなたには、ストレートとフラッシュのバックドアドローがあるだけですが、COが超有利なボードにも見えません。
とりあえずCBを打ったハイカード系の手もCOにはたくさん含まれていそうです。
そこで、あなたはコールすることにします。これがフロートです。
ターン:8♥
COはチェックしました。
あなたの手はストレートとフラッシュのコンボドローに進展しました。絶好のブラフチャンスです。
そこで、あなたはポットの75%のベットすると、相手はフォールドしてあなたはポットを獲得しました。
このように、相手がチェックした隙を見てベットし、相手に圧力を掛けるのがフロートの狙いです。
フロートが刺さる3つの条件
フロートをうまく決めるためには、大きく分けて3つの条件があります。
- あなたにポジションがあること
- CB頻度が高い相手であること
- 降りてくれる相手であること
順番に見ていきましょう。
あなたにポジションがあること
フロートは基本的にインポジション(IP)が行われることが多いです。
なぜなら、アウトオブポジション(OOP)のアグレッサーの出方を伺ったうえでアクション出来るからです。
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先ほどの例で、あなたは同じT♥9♥をBBで持って、フロップでコールしたしましょう。
この時、定石通りターンでチェックすると、次にベットできる機会はリバーまでお預けです。
こうなるとあなたは、強いコンボドローでセミブラフする機会を逃すことになってしまいます。
また、ドンクベットを打つとしても、アグレッサーのアクションが見られないので、大きいベットで相手を牽制するのは難しいです。
このように、OOPでフロートしてもなかなかうまくいきません。
先ほどの例で、大きめのブラフを打てたのは、IPで相手のチェックを見た後だったからなのです。
CB頻度が高い相手であること
フロップでのCBが多い相手にはフロートが刺さりやすいです。
特に相手が安いCBを多く打ってくるなら、なおさらです。
相手のCB頻度が過剰な場合、ベットレンジの中には、弱い手が多く含まれることになります。
中には、セカンドバレルを打つには厳しいエアーの手や、弱いペアの手なども含まれているでしょう。
こうなると、相手はターンでチェックする頻度が高くなり、あなたがベットで反撃できるチャンスも生まれやすくなります。
降りてくれる相手であること
フロートでブラフをするとき、相手がマージナルハンドを降りてくれるかということに着目しましょう。
相手がマージナルハンドをあまり降りない相手だとすれば、ブラフターゲットが狭くなるため、当然ブラフは成功しにくくなります。
つまり、降りない相手にブラフをするなということです。ちゃんと降りられるプレイヤーに対し、フロートを仕掛けるようにしましょう。
CBへのカウンタープレーならブラフレイズもオススメ
CBへのカウンタープレーとしては、フロートのほかに、レイズも挙げられます。
レイズの利点は次の相手のアクションに依存することなく、プレーのイニシアチブを奪いに行けることです。
フロートは次に相手にチェックしてもらうことを期待しているため、相手のアクション次第では、ただ弱い手をコールしただけになってしまいます。
しかし、レイズならその心配はありません。
特にOOPならチェックレイズを返したほうが、ターン以降ベットしやすくなり、より利益的にプレーできるようになるでしょう。
ただし、強いハンドも多く含まれているであろうCBにレイズを返せる手はあまり多くありません。
また、ポットが大きくなるため、失敗した時のリスクは大きくなってしまいます。
一方、フロートはポットを小さく保ちながら、チェックした相手の弱いレンジに対してベットを打ち込めるという利点があります。
「セカンドバレルを打たない手」に攻撃できるため、ブラフも通りやすいと言えるでしょう。
ポーカーのフロートの例題!CBへのカウンタープレーを知ろう
さて、ここからは例題を用いて、どのようにフロートやレイズが行われるのかを考えてみましょう。
【例題】
BTNまでフォールドで回り、BTNが2.5BBにオープンレイズ、SBが12BBに3ベットし、BTNはコールしました。
フロップ(Pot:25BB)
A♥8♠6♦
SBがポットの33%のCBを打った時、BTNはどのような戦略を取るべきでしょうか?
ただし、プリフロップの有効スタックは100BBで、SBとBTNのハンドレンジは次のようなものであるとします。
【SBの3ベットレンジ】
【BTNのコールレンジ】
相手が標準的なプレイヤーの場合
SBが33%のCBを打つレンジと頻度は、次の図のピンク色の部分で表されます。
これに対し、BTNは緑色の部分でコールしています。
コール頻度は71.4%とかなり高いことが分かります。
この中でフロートと言えそうなのは、54sやT9sのようなガットショットや、22~55、77のポケットペア、QJsやQTs、KQsのバックドアフラッシュなどでしょうか。
一方、KXsのバックドアではあまりフロートしていません。その理由は、相手のブラフレンジの多くを占めるKXをブロックしてしまうからだと考えられます。
また、AKoのトップペアトップキッカーをバリューに、55や77の一部をブラフにレイズをしています。
セットをすべてコールしていると考えると、BTNのコールレンジはかなり強く見えますね!
次に、BTNがコールしたときの、ターンにおけるBTNの立ち回りを見ていきましょう。
カードに2♥が落ち、A♥8♠6♦2♥というボードになったとします。SBがチェックしたとき、BTNの戦略は次のようになります。
フロートしたレンジをブラフに変えてベットをしていることが分かります。♥のフラッシュドローがあると、さらに打ちやすくなります。
このように、ターンでブラフすることを前提に動くのがフロートの基本です。
相手にCBが多すぎる場合は?
次に、ノードロック機能を用いて、SBが100%の頻度で33%CBを打った時を仮定してみます。
この時、BTNの戦略はどのように変化するのでしょうか?
フォールド頻度が26.1%から18.6%に減少し、その分レイズやコールのレンジが広がっています。
J9sでのフロートが新たに加わり、QJsやQTs、JTsなどのバックドア系でのフロート頻度が上がっています。
また、AQでのバリューレイズが少し増えて、55やQ9sでのブラフレイズが増えています。
このように、相手のCBの頻度が上がれば上がるほど、それに対してカウンターできる頻度も上がることが分かります。
相手から頻繁にフロートされる場合はどうする?対フロート戦術を解説!
この章では、フロートを仕掛けられた時の対策を紹介します。
ポーカーを打っていると、相手から執拗にフロートされることがあるかもしれません。
そんな時には、次の3つのことを試してみるといいでしょう。
弱いハンドでのCBを減らしてみる
まず試してみるべきは、CBを打つレンジの調整です。
あなたが執拗にフロートされている理由は、あなたのCBレンジにあるかもしれません。
そのため、とりあえずでブラフCBを打っていた手や、反撃されて苦しい手はチェックすることにして、ベットレンジを強く保つようにします。
こうすることで、フロートを受けても戦えるようなハンドレンジを構築することができ、後の2つの対抗策も通りやすくなります。
また、フロップでのチェックレンジも強くできるので、フロップでBMCB(※)を受けても対応しやすくなります。
※BMCB:Bet Missed C-Betの略。CBを打たなかった相手に対するコーラーのベットを指します。
相手のフロート後のベットにレイズを返してみる
チェックレイズを返してみるのも有効な対策です。
ブラフCBの中で、ドローに進展したハンドなどをレイズに回すと上手くブラフレイズをすることが可能です。
相手がフロートする手には、バックドア系のような弱い手もたくさん含まれるので、レイズを返されると、とても苦しくなります。
また、相手のフロートを誘って、チェックレイズを返すようなプレーをしても面白いです。
執拗にフロートする相手からチップを引き出して、逆に自分の利益にしてやりましょう。
セカンドバレルを増やしてみる
セカンドバレルを増やすのも有効な対策法です。
フロートはそもそもOOPにチェックしてもらうことを期待して行うものですから、セカンドバレルをされると、苦しくなることが多いです。
弱い手でも、勝てる見込みのないハンドなら、打ち切ってしまいましょう。
セカンドバレルに対してフロートできる手は、フロップほど多くはありません。
もちろん、相手も対応してレイズを返してくる可能性はありますが、それでもブラフ予定だったハンドを一部でも潰せるなら大きいです。
もしレイズで対応されることを重く見るなら、ベットレンジをぐっと絞ってオーバーベットするといいでしょう。
オーバーベットは、強さが両極端になるように打たれるため、相手がレイズを返して利益的になることは少なくなります。
ポーカーのフロートを使いこなしてCBを対策しよう!
フロートは、CB戦術の蔓延と共に生まれていった経緯があり、何も考えずにCBを打つ相手にはかなり有効な戦略です。
フロートという引き出しを持っていると、あなたのプレーの幅がより広がるはずです。