

ポーカーのアウツは、ポーカーを数学的に考えるうえで重要な要素のひとつです。
難しい状況に直面したとき、アウツを数えてみることで正確な決断を下すきっかけにもなることもあるでしょう。
この記事ではポーカーのアウツについて解説していきます。
- ポーカーのアウツについてわかる
- アウツの枚数とアウツを引ける確率が分かる
- ホールデム、オマハ、ショートデッキのアウツと勝率の関係が分かる
この記事ではホールデム以外にも、オマハやショートデッキ(6+)で使えるアウツの知識にも触れていきます。
オマハやショートデッキに触ったことがある方もない方も、是非知っていただければと思います。
ポーカーのアウツとは?用語の意味を解説!
ポーカーのアウツとは、相手を捲るのに必要なカードのことです。
捲り目になるカードの枚数を数えておけば、アウツを引く確率を求めることも可能です。(後述)
ポーカーではアウツを数えて、勝率を見積もることで決断を楽でき、期待値の大きいプレーが可能になります。
アウツの数え方
アウツを数えるには、単純に相手を捲れるカードの枚数を数えればOKです。
ただし、相手のカードは分からないので、アウツになりそうなカードは自分で考えなくてはなりません。
例えば、ホールデムでA♠5♠を持っている時、ボードがK♠J♠6♥だったとします。
この時、Kヒットに勝ちたいのであれば、♠とAがアウツになります。
一方で、KKやJJ、66のセットに勝ちたいのであれば、Aと6♠はアウツになりません。

ポーカーのアウツの例題!オマハの問題も
ここで、ポーカーのアウツの問題を3問出題します。
特に問題③はオマハのラップストレートの問題になっています。
どれくらいのドローになるかを体感していただければと思います。
問題①
ホールデムであなたはA♥9♥を持っています。
ターン:K♥8♥2♠J♣
相手がベットをしてきました。あなたは相手がKヒットくらいである想定しています。
Kのトップペアに対するアウツは何枚でしょうか?
12枚です。
Kのトップヒットを捲れるのはAのペアかフラッシュです。
Aは3枚、♥は残り9枚です。
よって、A♦A♠A♣2♥3♥4♥5♥6♥7♥T♥J♥Q♥の12枚が答えです。
問題②
ホールデムであなたはQ♠Q♥を持っています。
ターン:A♣Q♣6♦7♣
相手のオールインにコールすると、相手はK♣J♣をショウしました。
あなたのアウツは何枚でしょうか?
10枚です。
不運なことに、相手はナッツフラッシュを持っていたようです。
よって、これを逆転するにはフルハウス以上の役が必要になります。
フルハウスを作るには、ボードペアができればいいので、A、7、6がアウツになります。
もちろんQを引けばクワッズなのでOK。
よって、A♥A♠A♦Q♦7♥7♠7♦6♥6♣6♠の10枚が正解です。
問題③

オマハであなたはJ♦9♦8♥7♥を持っています。
フロップ:T♠8♦2♠
この時、ストレートのアウツは何枚あるでしょうか?
17枚です。
ボードをよく見ると789Tと89TJの2つのオープンエンドを見つけることが出来ます。
つまり6、7、J、Qがアウツになります。
更に、78TJのガットショットもあるので9もアウツになります。
よって、アウツは
6♦6♥6♠6♣7♦7♠7♣9♥9♣9♠J♥J♠J♣Q♦Q♥Q♠Q♣の17枚になります。
このように、オマハではモンスタードローが付きやすいランダウン(連番)系のハンドが強力です。
アウツが分かれば勝率が分かる!アウツ毎の勝率表を見てみよう
アウツを数えることでわかるのは、ずばりそのアウツを引ける確率です。
これはつまり、アウツを引いて勝てる確率を知ったうえで、投資とリターンが釣り合うかどうか考えられるということです。
コールに必要な勝率は、獲得できるポットとコールに必要なチップの額から求めることが出来ます。
ただし、今までに使ったチップのことは考えません。

ここでは、ホールデム、オマハ、ショートデッキ(6+)という3つのゲームについてアウツを引ける確率について見ていくことにします。。
オッズに関して詳しく知りたい方は…
ホールデムの場合
まずはホールデムのアウツと、アウツを引ける確率の関係について見てみましょう。
特に8アウツと9アウツはよく使うので、正確な確率を覚えておくといいでしょう。
- 「ターン」はターンのカードでアウツを引ける確率
- 「リバー」はリバーのカードでアウツを引ける確率
- 「ターン+リバー」はそのどちらかでアウツを引ける確率
ホールデムの勝率表
アウツ | シチュエーション例 | ターン(%) | リバー(%) | ターン+リバー(%) |
2枚 | セットを引く | 4.26% | 4.35% | 8.42% |
3枚 | 1オーバー | 6.38% | 6.52% | 12.59% |
4枚 | GSSD ※1 | 8.51% | 8.7% | 16.47% |
6枚 | 2オーバー | 12.77% | 13.04% | 24.14% |
7枚 | 1オーバー+GSSD | 14.89% | 15.22% | 27.84% |
8枚 | OESD ※2 | 17.02% | 17.39% | 31.45% |
9枚 | FD ※3 | 19.15% | 19.57% | 34.97% |
12枚 | GSSD+FD | 25.53% | 26.09% | 44.96% |
15枚 | FD+OESD | 31.91% | 32.61% | 54.12% |
※1 GSSD……ガットショットストレートドロー
※2 OESD……オープンエンドストレートドロー
※3 FD……フラッシュドロー
2%4%の法則について
ホールデムにおいて、アウツから勝率を概算する方法として知られているのが2%4%の法則です。
- (アウツの枚数)×2%が次のカードでアウツを引く確率の近似値になる
- (アウツの枚数)×4%がターンかリバーのどちらかでアウツを引く確率の近似値になる
例えば、フロップのガットショットをターンで引く確率は、大体4×2=8%と見積もることが出来ます。
ただし、この法則で求めた確率は、アウツが増えるにつれて、正しい確率と乖離していきます。
そのため、正しい確率を一度見たうえで、どれくらい値が乖離しているのか覚えておくといいでしょう。
どうして2を掛けるの?
ここでは、どうして2を掛けると勝率を概算できるのかの理由を数学的に説明してみます。
まず、フロップ時点でアウツがx枚存在するとき、ターンでアウツを引く確率はx/47です。

ここで、分母を大体50だと見積もり、勝率をx/50くらいだとします。
分子と分母に2を掛けると、2x/100になるので、2x%がおおよその勝率だと概算できます。
よって、2%の法則が乖離してくるのは、分母が47か50かの違いに起因していることがわかります。
アウツが少ないうちは、値はほとんど変わりませんが、アウツが多くなると、乖離が大きくなっていきます。
オマハの場合
オマハの場合の勝率表も見てみましょう。
オマハの場合、フロップ時点で自分に見えているカードが7枚あるので、見えていないカードは45枚です。
また、例題でご覧いただいたように、オマハではアウツができやすい傾向にあります。
ここでは20アウツまでの勝率を見ることにしましょう。
オマハの勝率表
アウツ | シチュエーション例 | ターン(%) | リバー(%) | ターン+リバー(%) |
2 | セットを引く | 4.44 | 4.55 | 8.79 |
3 | 1オーバー | 6.67 | 6.82 | 13.03 |
4 | GSSD | 8.89 | 9.09 | 17.18 |
6 | 2オーバー | 13.33 | 13.64 | 25.15 |
7 | 1オーバー+GSSD | 15.56 | 15.91 | 28.99 |
8 | OESD | 17.78 | 18.18 | 32.73 |
9 | FD | 20 | 20.45 | 36.36 |
12 | GSSD+FD | 26.67 | 27.27 | 46.67 |
15 | FD+OESD | 33.33 | 34.09 | 56.06 |
16 | ラップドローなど | 35.56 | 36.36 | 58.99 |
17 | ラップドローなど | 37.78 | 38.64 | 61.82 |
20 | ラップドローなど | 44.44 | 45.45 | 69.70 |

オマハの特徴は何といってもドローの多さでしょう。
フロップでオールインになると、ハンドで勝っている側がエクイティで負けているという逆転現象を見かけることも多いです。
勝率を見積もるときは、ホールデムと同様に2%4%の法則を使ってもよさそうです。
ただし、値の乖離がかなり大きいので、どれくらい離れているのかはあらかじめ確認しておきましょう。
ホールデムと違う!?ショートデッキのアウツと勝率について解説!
ここからはショートデッキ(6+)ホールデムについて取り扱っていきます。
ショートデッキとは、マカオ発祥とされる変則ホールデムです。
2022年にはWSOPのショートデッキで日本人の優勝者が出ています。
KKPOKERやGGPoker、PokerStarsなどでも遊ぶことが出来ますよ!
ホールデムとショートデッキの違い
ホールデムとショートデッキでアウツと勝率の違いを考える時、考慮する点は次の3つになると思われます。
- 使用するカードの枚数が少ない
- 同じスートのカードは9枚だけ
- フルハウスよりフラッシュのほうが強い
このほかには、ボタンブラインドだったり、全員からアンティを取ったりする違いがあります。
使用するカードの枚数が少ない
ショートデッキは、2~5のカードを取り除いて行われます。

つまり、デッキは52-16=36枚ということになります。
これにより、アウツと勝率の関係が変化するだけでなく、ストレートドローやボードペアができやすくなります。
同じスートのカードは9枚だけ
ショートデッキでは、同じスートのカードは9枚しかない計算になります。
2~5を取り除いてプレーされますからね。
これにより、フラッシュドローが5アウツとかなり引きづらくなっています。
一方で、オープンエンドストレートドローは8アウツとホールデムと変わりません。
フルハウスよりフラッシュのほうが強い
ショートデッキでは、フラッシュが強化されており、フルハウスより強い役に変化しています。
そのため、ペア―ドボードになったとしてもフラッシュは依然強く、フラッシュを負かす役は4カードとストレートフラッシュだけです。
ただし、ペア―ドボードになった時点で、4カードの可能性があることから、ナッツフラッシュにはなり得ません。
ちなみに、ローカルルールとして、3カードとストレートの強さが逆転していることもあります。
ここでは、このローカルルールはないものとして考えます。
ショートデッキのアウツと勝率表!勝率の感覚を身につけよう
ここで、ショートデッキのアウツと勝率の関係を見てみましょう。
ホールデムやオマハとかなり違うので、ショートデッキをプレーするときには意識するといいでしょう。
アウツ(枚) | 例 | ターン(%) | リバー(%) | ターン+リバー(%) |
2 | セットを引く | 5.88 | 6.06 | 11.59 |
3 | 1オーバー | 8.82 | 9.09 | 17.11 |
4 | GSSD | 11.76 | 12.12 | 22.46 |
5 | FD | 14.71 | 15.15 | 27.63 |
6 | 2オーバー | 17.65 | 18.18 | 32.62 |
8 | OESD、FD+GSSD | 23.53 | 24.24 | 42.07 |
11 | FD+OESD | 32.35 | 33.33 | 54.90 |
こう見ると、フラッシュドローを引ける確率がホールデムに比べて低いのが分かります。
一方で、他のドローはかなり引きやすくなっているので、ドローに捲られやすい分散の大きいゲームだということが分かります。
勝率は「3%5%の法則」で求まりそう!
ショートデッキをプレーするにあたって、覚えておいてほしいのが3%5%の法則です。

- アウツの枚数×3%が次にアウツを引ける確率の近似値になる
- アウツの枚数×5%がターンとリバーのどちらかでアウツを引く確率の近似値になる
例えば、ターンでフラッシュドローの5アウツを持っている場合、リバーでフラッシュを引く確率は5×3=15%と見積もることが出来ます。
ホールデムの時のように、近似できる根拠を考えてみましょう。
ターンでアウツがx枚の時、リバーでアウツを引ける確率はx/33です。
分母と分子に3を掛けると3x/99となり、3x%がアウツを引ける確率の近似値になります。
フロップにおける分母も34×3=102と100とあまり変わらないので同様の近似ができます。
ショートデッキのアウツの練習問題
ここではショートデッキのアウツから勝率を求める問題を2問出題します。
ショートデッキに挑戦する前に、是非一度チャレンジしてみてくださいね!
問題①
あなたはJ♠J♦を持っています。
ターンで:T♣6♥7♥J♥
相手がA♥9♥を持っている時、あなたのアウツは何枚でしょうか?
J♣の1枚だけです。
先ほど紹介したように、ショートデッキはフルハウスよりフラッシュのほうが強いゲームです。
ですから、フルハウスになるカードは全てドローイングデッドです。
問題②
あなたはA♦K♦を持っています。
フロップ:T♦J♥7♦
フロップでオールインになり、相手のハンドが9♠8♠でした。
あなたのアウツは何枚で、勝率はどれくらいでしょうか?
アウツは8枚で、勝率は42.07%です。
あなたが9♠8♠に勝つには、上ストレートになるQか♦が必要です。
よって、6♦8♦9♦J♦Q♦Q♥Q♠Q♣の8枚がアウツになります。
8アウツの時の勝率表から、勝率は42.07%と求まります。
8×5%=40%くらいと見積もれていれば大体OK。
ポーカーのアウツを数えて確率的に正しい判断をしよう!
ポーカーのアウツを数えることは、期待値を求めるうえで、最も基本的な手順です。
ポーカーが上手なプレイヤーはアウツと確率の関係を、知識あるいは感覚として身に付けています。
この確率の知識はポーカーのルールによって異なってくるので、新しくポーカーを覚える際はアウツと勝率の知識をインプットするといいですよ!

・ゲーマー大学院生
・ポーカー/麻雀/FPS
・JOPT出場経験あり