

ポーカーのレイズとは、ベットが入った際に取ることのできるアクションのうちのひとつです。
ノーリミットホールデムのテーブルは年々アグレッシブになっており、レイズに直面する機会も多くあるでしょう。
この記事ではポーカーのレイズについて解説していきます。
- レイズのルール
- レイズすべきタイミング
- レイズのコツや重要性
ツールを使った具体的な戦略も紹介しているので、是非最後まで読んでいただき、レイズについて知っていただけたらと思います。

ポーカーのレイズとは?意味やルールを解説!
ポーカーのレイズとは、相手のベットに対して、賭けている金額を上乗せするアクションです。
レイズに対してレイズを返すこともでき、このことをリレイズまたは3ベットと呼びます。
リレイズに対してレイズを返すのはリリレイズまたは4ベットです。
ベットが入った場合、ベットした人の左隣のプレイヤーからアクションが始まります。
その人から順番にレイズ権が与えられレイズするのか、コールするのかフォールドするのかを選択します。
ポーカーのレイズはいつすればいいの?タイミングを解説!
ポーカーでレイズすべきタイミングを3つ紹介します。
- プリフロップで参加するとき
- 相手を降ろしたい時
- チップを引き出したい時
基本はベットするときと同じですが、レイズはより強気なアクションです。相手のベットにチップを上乗せしていますからね!
順番に見ていきましょう。
プリフロップで参加するとき(オープン・レイズ)
最も頻繁に行われるレイズが、プリフロップでのオープン・レイズでしょう。
プリフロップでコールすることをリンプインと言いますが、これは基本的に悪手になることが多いです。
たいていの場合損ですし、例えリンプすることで期待値がプラスだったとしても、レイズしたほうが得なことがほとんど。
SBでリンプインすることはありますが、基本的には誰も参加していないなら、レイズで参加しましょう。
相手を降ろしたい時に使う(ブラフレイズ)
コールしても勝てなさそうな手を持っている時にはブラフレイズを考えてみましょう。
とはいえ、すべてのハンドでレイズをしてはブラフの打ちすぎです。
ここでは、ブラフレイズの2つのコツを紹介します。
ドローがあるとき
ドローがあるときは、ブラフレイズの絶好の機会です。

当然、ドローはコールしても引けるとは限りません。フロップのフラッシュドローをターンまでコールしたとしても、引けるのは3回に1回程度。
ならば、レイズして相手を降ろせる可能性に賭けてみるのも手です。
例えコールされたとしても、ドローを引ければ捲ることができ、ワンチャンスあるのもうれしいところです。
そしてドローが引けた時には、多くのチップを獲得する大チャンスになるでしょう。
強い手をブロックしている時
ストレートやフラッシュなどの強い手をブロックしている時はブラフレイズの打ちどころです。
例えば、ボードに♣が3枚落ちているときに、♣Aを持っているような時です。
このとき、相手がAXsのフラッシュを持っている可能性はゼロです。よって相手のフラッシュの可能性が減り、ブラフで降ろせる可能性が高くなります。
また、♣K♠T♦8♦7♥2というリバーで99や98を持っているとすれば、ブラフに変えてレイズしてみるのも手でしょう。ナッツのJ9をブロックしていますからね。

強い手を持っているときに使う(バリューレイズ)
強い手を持っていて、相手からより多くのチップを引き出したい時にレイズを用います。
強い手で利益を出せるのはもちろん、レイズすることで次のストリート以降、プレーの主導権を握れるようになり、自分からベットを打ち出しやすくなります。
OOPでチェックコールしてしまうと、あなたは次のストリートで、ほとんどチェックすることになってしまいます。ドンクベットを打たないのが定石ですからね!
そうなると、ポットが大きくなるかは相手次第です。もしかすると相手はチェックバックしてしまうかもしれません。
主導権を握るといった意味でも、OOPでは積極的にバリューレイズしたほうが利益的にプレーできるでしょう。
レイズを上手く使いこなすコツは?フロップのレイズ戦略を解説!
この章では、例題を交えてレイズを使いこなすコツや、レイズすることの重要性を解説します。
結論から言うと、レイズを使いこなすコツは、どのような手でバリューレイズし、どのような手でブラフレイズするのかを考えながらプレーすることです。
あなたがバリューレイズしたいスポットに直面したなら、同時にどんな手でブラフレイズしそうか考えてみましょう。その逆もまた然りです。
もしブラフハンドが思いつかないなら、あなたのレイズレンジはバリュー過多である可能性が高いため、コール止めする選択も有力になります。
逆にブラフスポットでバリューハンドが思いつかないなら、ポットを諦めなくてはならないかもしれません。
また、レイズすることで相手のどのような手にコールまたはリレイズされ、どのような手がフォールドするかを意識することも大切です。
相手や自分のハンドレンジを意識しながらプレーすることがレイズに限らず、ポーカー全般のコツだと言えます。
相手のCBにレイズを返す際の例
例題をもとに、どのようなレイズレンジを構築するべきか考えてみましょう。
例題:
全員が100BB持ちのノーリミットホールデムの一場面です。
プリフロップで、BTNのあなたが2.5BBにレイズし、SBに12BBの3ベットを返されました。あなたはコールします。
フロップ(Pot:25BB)
♠K♠T♥4
SBがポットの66%の16.5BBのベットをしてきました。あなたはどのような手でレイズするべきでしょうか?
まずは、SBとBTNのハンドレンジを仮定しましょう。GTOWizardを参考に、SBとBTNのハンドレンジを構築します。
▼SBのハンドレンジ(赤い部分)
▼BTNのコールレンジ(緑の部分)

AAはスロープレーしても、KKやQQよりは戦いやすいですから、コールレンジに強い手として残すにはぴったりです。
後にこのコール止めが生きてきますよ!
次に、このハンドレンジをもとに、ソルバーを回してみましょう。
もちろんGTOWizardでも確認できるのですが、戦略を簡略化するために、GTO+を回しています。
簡単のため、SBのCBは66%サイズのみであるとします。
▼すると、BTNのレイズ戦略は下のようなものになります。(青い部分)
全体の約3.5%をレイズしています。
バリューレイズとしてKQとスロープレーしたAAの一部をレイズしています。KTはコールレンジに回すようです。
ブラフレイズするハンドとしては、AXsのフラッシュドローと、♠Q持ちのAQのガットショットが挙げられます。

実戦でこれらを真似して完璧にプレーするのは難しいですが、レイズレンジの参考にはなるはずです。
レイズを返さないとどうなる?
あなたがレイズを返す可能性があると相手に思わせておくことが、相手のアグレッシブなプレーに対する抑止力になります。
先ほどの例題で、あなたが全くレイズを返さなかったとき、SBがどのようにあなたを搾取してくるのか考えてみましょう。
▼BTNがレイズを適切に返した場合、SBはこのようなレンジでCBを打てます。(青い部分)
CBの頻度は73%です。
ここで、GTO+のノードロック機能を用い、BTNのレイズレンジを無くしてみます。
レイズorコールで戦うハンドをすべてコールすることにしましょう。フラッシュドローもオーバーペアのAAもすべてコール止めです。
▼すると、SBのCBレンジはこのように変化します。
全体的にCBの頻度が増えていることがわかります。実際、全体の83.7%をCBに回しており、ベットによるプレッシャーをかけやすくなっています。
特筆すべきは、♥のバックドアドロー。♥A♥7や♥A♥9などのバックドアドローをより多くベットできるようになります。
また、スロープレー気味に運用していたKKやTTでベットする頻度が上がり、QQやJJのプロテクションベットも増えています。
このように、わずか3.5%のレイズを打たなくなっただけで、SBは10%も多くCBを打てるようになり、アグレッションを高めてプレーすることが可能になるのです。
適切にレイズしないと、あなたはより多くのベットに直面するようになり、難しい判断を迫られることになるでしょう。
ポーカーのレイズでよくある質問
レイズにまつわる、よくある疑問を4つまとめました。
- どうしてプリフロップはベットではなくレイズなの?
- ミニマムレイズはいくら?
- レイズは何回できるの?
- ポットレイズはいくら?
レイズに関するルールは少し複雑で、初心者が躓きやすい部分かもしれません。
順番に見ていきましょう。
Q.どうしてプリフロップはベットではなくレイズなの?
プリフロップには、ベットというアクションはありません。できるのはコールかレイズ、フォールドだけです。
なぜなら、ブラインド”ベット”がいるから。ブラインドは形式上ベットとして扱います。
プリフロップではすでにベットしている人がいるから、最初にレイズが入るのです。
Q.最低レイズの金額(ミニマムレイズ)はいくら?
ミニマムレイズの金額は、相手のベット額の2倍です。
100ドルのベットが入っていた場合、レイズは200ドルからになります。
ただし、リレイズする際は少し煩雑になります。
ミニマムリレイズは相手がレイズした金額+相手がレイズに上乗せした金額です。
$5/$10のテーブルのプリフロップで、$30のオープンレイズに3ベットを返したいとします。
この時の最低額はテーブルに出ている$30に相手がBBに上乗せした$20を足して$50になります。
▼オンラインテーブルで例を見てみましょう。
相手が1BBに1.5BBの上乗せをして2.5BBのレイズをしているので、ミニマム3ベットは2.5BB+1.5BB=4BBです。
コールが入っていてもミニマム3ベット額は変わりません。

よく分からない場合は、相手のレイズの2倍以上のリレイズを返しておけばルール違反になることはありません。
Q.レイズって何回できるの?
ノーリミットゲームでは、スタックの許す限り何回でもレイズできます。
オマハなどで見られるポットリミットでも、レイズの回数に制限がないことが多いです。
一方、リミットホールデムやスタッドポーカーなどのリミットゲームでは、多くの場合レイズ回数に制限があります。
リミットゲームの場合、レイズできる回数は3回か4回です。

テーブルによってレイズできる回数は決まっているので、不安な場合は事前に聞いておくといいでしょう。
Q.ポットレイズっていくら?計算方法を解説!
ベットが入っているときのレイズ額の計算方法を解説します。
ポットレイズの金額はベットにコールしたときのポットの合計+相手のベット額で求まります。
例題:
$1/$2のノーリミットホールデムでBTNとBBのヘッズアップになりました。ポットは$13です。
BTNが$6のベットをしてきました。BBのポットレイズはいくらでしょうか?
BBがこのベットにコールしたとすると、ポットは$13+$6×2=$25になります。
この時、BBのポットレイズの金額は、$6に$25を上乗せした$31です。

上乗せ分$31を半分にして$6+$15.5=$21.5とするとハーフポットレイズの金額になります。
コールに必要なチップを出してみて、ポットがいくらになるのか考えてから、コール額に上乗せするイメージでレイズ額を決めると正確なサイズを求めやすいです。
ポーカーのレイズは強くなるためには必要不可欠!
- レイズはベット額を引き上げるアクション
- ブラフでもバリューでもレイズを活用できる
- レイズレンジを作っておくことで相手への抑止力になる
レイズをすれば当然大きなポットが動きます。そのため、初心者の方はレイズするのが怖いと感じるかもしれません。
しかし現代ポーカーにおいて、勝ちたければレイズを使いこなすのは必要不可欠です。
プレーする際には、レイズの選択肢があることを常に頭に入れておくようにしましょう。

・ゲーマー大学院生
・ポーカー/麻雀/FPS
・JOPT出場経験あり