

ポーカーにおけるストラドルは主に、ライブキャッシュゲームで見られるオプションの一種です。
オンラインではあまり馴染みがないストラドルですが、GGPoker系列サイトのキャッシュゲームではストラドルが認められており、ライブキャッシュを打たない方であっても見かける機会があるでしょう。
この記事では、ポーカーのストラドルの紹介と、ストラドルがテーブルに起こす変化、メリットとデメリットを解説していきます。
- ポーカーのストラドル
- ストラドルがテーブルに起こす変化
- ストラドルのメリットとデメリット
初めてストラドルを見ると困惑するかもしれません。
ストラドルへの対応方法も紹介しますので、是非最後まで読んで、ストラドルについて知っていただけると幸いです。
ポーカーのストラドルとは?意味を解説!
ストラドルとは、ブラインド以外のポジションの人がBBの2倍以上のチップを置いてブラインドベットするオプションのことです。
ストラドルをした人のポジションはSTRと略されます。

ストラドルした人は、プリフロップで最後にアクションすることができます。なぜなら、ブラインドに対しハンドを見ずにレイズしたという扱いになるからです。
よって、ストラドルが入った場合、プリフロップのアクションはストラドルの左隣から始まります。
ストラドルしたい場合、ハンドが配られる前のブラインドをポストするタイミングでストラドルを宣言し、チップを置けばOK。
カジノによって、ストラドルの扱いはまちまちなので、ストラドルしたい場合は事前に確認するようにしましょう。
ポーカーのストラドルの種類
ストラドルできることが多いポジションは、UTGとBTNの2つです。
それ以外のポジションでストラドルできるルールも稀に存在しますが、基本はこの2つを知っておけばOK。
順番に見ていきましょう。
UTGストラドル
最も一般的なストラドルがUTGによるストラドルです。
多くのカジノではUTGによるストラドルのみ認められています。
ストラドルは基本的には任意のオプションですが、必ずストラドルしなければならない「マストストラドル」という取り決めがなされたテーブルも時々見られます。
BTNストラドル
BTNからストラドルが入ることもあり、別名ミシシッピストラドルと呼ばれます。
BTNストラドルはカジノによっては、認められていないことも多いオプションです。
ホームゲームでポーカーを遊ぶ場合は、BTNストラドルを認めるかどうか、あらかじめ決めておくといいでしょう。
BTNという最良のポジションでプレーできることから、他のポジションからレイズが入っても広くコールしやすいです。
また、BTNで大きなポットをプレーできるので、好んでBTNストラドルをするプレイヤーもいるようです。
ポーカーでストラドルが入るとどうなる?
ストラドルが入ったテーブルがどのようになるのかを解説していきます。
ストラドルが入った場合、変わるのはアクションの順番だけではありません。
ストラドルでブラインドが1つ増えたことにより、主に2つの変化が起こります。1つずつ見ていきましょう。
ポットが動きやすくなる
ストラドルが入ったテーブルではポットが動きやすくなります。
なぜなら、ストラドルが入ったテーブルでは、レイズがBBではなく、ストラドル基準で行われるようになるからです。
例えば、あなたが3BB相当のオープンレイズをストラドルテーブルで行いたい場合、ストラドルの3倍のレイズを行うことになります。
ストラドルが2BBだったとして、レイズだけでも6BBかかるわけです。
プリフロップでのレイズが大きくなるということは、ポストフロップでのポットの動きも同様に大きくなります。

このように実質レートが上がり、ポットが動きやすくなることがストラドルの特徴であり、多くの人がストラドルする理由だと言えます。
プレーするハンドが変わる
ストラドルによってプレーするハンドが変化します。
これは、SPRが小さくなるからだと説明できます。

有効スタック(Effective Stack)とは、そのハンドで勝ち負けしうる最大のスタックのことで、ポットに参加しているプレイヤーのスタックの中で一番小さいものにあたります。
例:
全員が100BB持ちでキャッシュゲームを打っていたとします。
COの3BBのレイズにBBだけがコールしたときのポットは3+3+0.5 = 6.5(BB)です。
有効スタックは、3BBをレイズしたので残り97BBです。
この時、フロップにおけるSPRは97÷6.5 ≃14.92となります。
一般に、SPRが大きくなればなるほど投機的なハンドをプレーしやすくなります。なぜなら、強い手を引いた時に取れるチップがたくさんあるからです。
一方で、SPRが小さくなると投機的なハンドはプレーしづらくなり、逆にペアやハイカードの価値が上がると言われています。

そして、ストラドルはSPRを変化させるアクションだと言えます。
全員100BB持ちのキャッシュゲームでUTGが2BBのストラドルをしているとします。
COが6BB(3STR)のレイズをし、ストラドルがコールしたとすると、ポットは6+6+1+0.5=13.5(BB)です。
有効スタックは、94BBですから、フロップのSPRは 94÷13.5 ≃6.96となり、先ほどと比べてSPRが半減していることがわかります。
このように、ストラドルが入ったときには、SPRの変化から参加しやすいハンドも変化するのです。
ストラドルが入ったときにはタイトに!
ストラドル、特にUTGからのストラドルが入ったときにはタイトにプレーするべきです。
前述したように、ストラドルが入り、SPRが下がると投機的なハンドの価値が下がります。
セットをツモっても、フラッシュやストレートを引いても十分なインプライドオッズを得られず、見合うリターンがないからです。
そのため、ストラドルテーブルではハンドを絞り、ハイカードやハイポケットペアで参加することが賢明です。
また、ショートスタックがオールインしやすくなるので、~40BB程度のショートスタックがいないかどうかにも注意しておきましょう。

あなたがHJやCOにいるならスチールを狙ってルースにレイズすることも正当化されるでしょう。
しかし、BTNはポジションがあることや、「わざわざストラドルを払ったのに勿体ない!」という感情的な理由があることから、なかなか降りてくれません。
少なくとも、BBがディフェンスするよりも広くコールされてしまうでしょう。
そのため、スチールを狙うなら大きめにレイズしたほうが上手くいきやすいです。

ポーカーのストラドルはダメ?デメリットを解説
一般的にストラドルは損なプレーとされています。
ここでは理由を2つ紹介します。順番に見ていきましょう。
そもそもブラインドベットが損だから
プリフロップのアクションが最後になるという恩恵は、ストラドルを払ってまで受けるべきものではありません。
ブラインドは本来、強制ベットをさせられる不利なポジションのはずです。それはプリフロップで最後にアクション出来るBBであっても同様です。
よって、わざわざお金を払ってまで不利になりに行くのは、かなり非合理的だと言えるでしょう。
たとえポジションを確保できるBTNストラドルであっても、ストラドルは損なプレーだと言えます。
他のプレイヤーに得させてしまうから
ポーカーは(レーキを除けば)零和ゲームですから、あなたが損をするということは、当然誰かが得をすることになります。
他のプレイヤーからしたら、ストラドルはポットにお金を落としてくれることに他なりません。つまり、ストラドルの存在はスチールの価値を高め、相手に良いオッズを与えてしまいます。
さらに言えば、他のプレイヤーは「レートの上昇」という恩恵にタダ乗りできてしまいます。
他のプレイヤーに手が入っていたならば、大得させてしまうことに繋がるでしょう。
特にプレミアムハンドはストラドルが入っていたほうがプレーが簡単ですから、AAやKKを持っている人からすれば大助かりです。
ポーカーのストラドルはメリットもある!ストラドルが利益的になるタイミング
一般的には損と言われているストラドルにも有効利用する余地は残されています。
ここでは3つ、ストラドルのしどころを紹介します。
ポイントは、「レートを意図的に上げられる」ことです。順番に見ていきましょう。
パッシブなプレイヤーが多いとき
パッシブなプレイヤーが多いのならば、ストラドルを考えてみましょう。
特に、ポットが大きくなるのを恐れてストラドルにコールしてくれるプレイヤーがいるなら狙い目。
この手のパッシブなプレイヤーがいる場合は、アグレッシブにプレーすることでストラドラ―がポットを獲得できるチャンスが高まります。
また、パッシブな相手にストラドルするなら、スクイーズを狙ってみるのもおすすめです。成功すれば、BBのスクイーズ以上の利益を上げられるでしょう。
相手が全体的に弱く、なおかつディープスタックの時
相手が格下で、なおかつ十分な有効スタックがある場合、ストラドルは有効になり得ます。
相手が格下なら、当然レートを上げて最大効率で稼ぎたいところ。マストストラドルの取り決めができたら言うことはありません。
さらに、弱い相手であればストラドルに対して適切な対応をしてこない可能性が高く、搾取しやすいと考えられます。
ただし、SPRが低下すると一般にスキルエッジが小さくなると言われています。よってストラドルをしても、なお十分なSPRが確保できる状況であることが前提です。

ちなみに、SPRを低下させて格上相手に実力差を誤魔化したい場合、ストラドルはお勧めできません。テーブルに持ち込むお金を少なくすればそれで済みますからね!
保守的なプレイヤーが多いとき
分散を好まない保守的なプレイヤーが多い時には、ストラドルが刺さるかもしれません。
ストラドルはいわばレートを引き上げる行為です。ストラドルが入ると、いつも以上にポットが動くようになるため、中にはマネープレッシャーを感じる人も出てくるでしょう。
マネープレッシャーを感じたプレイヤーは、ハンドレンジがガチガチになったり、オーバーフォールドが増えたりとプレーのバランスを崩してしまいがちです。
つまりストラドルすることで、相手が付けこむ隙を見せてくれる可能性があるのです。
逆にあなたがストラドルを受けてマネープレッシャーを感じるようなら、プレーをやめることも考えるべきです。
ポーカーのストラドルはしないのがオススメ
- ストラドルは、ブラインド以外からのブラインドベットのこと
- ストラドルはプリフロップで最後にアクション出来る
- ストラドルによって実質レートが上がり、プレー内容も変化する
- ストラドルは基本的に損だが、レートを上げるメリットが大きいならアリ
マストストラドルでないのなら、基本的にはストラドルはしないのがオススメです。
紹介したメリットも、すべて「格下相手に利益を最大化できる」という内容ですから、よほど腕に自信がない限り、ストラドルが得になることは無いでしょう。
一方で、ストラドルによるテーブルの変化を知っておけば、ストラドルに適切な対応ができるため、ストラドルそのものについて、知っておくことは大切です。
もしも自発的にストラドルするとすれば、大きなポットを楽しむためとか、場を盛り上げたいからなど、利益以外の目的で行うことになります。
もちろん、そういった目的でストラドルするのは自由です。楽しむことに重きを置くのも、ポーカーの遊び方のひとつですよ!

・ゲーマー大学院生
・ポーカー/麻雀/FPS
・JOPT出場経験あり