ポーカーはシンプルに見えて意外と取れる戦術の多いゲームです。ノーリミットゲームのベットサイズが無数に存在することがそれを物語っています。
ポーカーを始めたばかりのプレイヤーの中には「何をすればいいか分からない」と悩んでいる方もいるかもしれません。
そこで、この記事ではポーカーの定石・セオリーについて解説していきます。
- プリフロップの定石
- ポストフロップの定石
- 定石を知った後の勉強法
ぜひ最後まで読んでいただき、プレーに役立ててもらえたらと思います。
Roche
- ゲーマー大学院生
- ポーカー/麻雀/FPS
- JOPT出場経験あり
Contents
- 1 ポーカーにはセオリーがある!
- 2 初心者が知っておきたいポーカーの定石【プリフロップ編】
- 3 初心者が知っておきたいポーカーの定石(ポストフロップ編)
- 4 細かく定石を知りたいなら、ソルバーを使ってみよう
- 5 ポーカーのセオリーを知ってプレーに役立てよう!
ポーカーにはセオリーがある!
ほかのゲームの例に漏れず、ポーカーにもいくつかの定石が存在しています。
次の章からは、プリフロップとポストフロップに分けて、基本的なセオリーを全部で8つ紹介します。
いずれも、ポーカーを覚えてまもなく勉強することばかりですので、ぜひ覚えて帰ってください!
【注意!】「セオリー=勝ち」ではない
ここで注意しておきたいのは、セオリーが必ずしも正解にはならないということです。
あくまでセオリーは「正解であることが多い」というだけで、例外になるケースも存在します。
また、ポーカーは相手の行動によっても正解が変わります。
一般的にあまり良くないとされるプレーでも、時と場合によっては刺さる、なんてこともあり得ます。
なので、ここで紹介する定石は頭に入れておいて、自分で噛み砕いて応用していくのが上達へのステップでしょう。
ポジション一覧
この記事では、上の図のようなポジションの略称で話を進めます。
ポジションの名称を覚えていない方は、この機会に覚えておくといいでしょう。
初心者が知っておきたいポーカーの定石【プリフロップ編】
まずは、プリフロップの定石について紹介します。ここでは、下記3つのトピックを扱います。
- 参加するハンドは絞ろう
- リンプインはしない
- ポジションが悪くなるコールはしない
順番にそれぞれ詳しく解説していきます。
ポーカーの定石【プリフロップ編】①
参加するハンドは絞ろう
ポーカーで参加して得になるハンドはそこまで多くはありません。プリフロップはフォールドすることがほとんどです。
確かに、最強のAAが最弱の72oに負けてしまうことがあるのがポーカーです。
しかし、弱い手がツーペアやトリップスになる確率は高くありませんし、たとえ引いたとしても、捲られてしまうこともしばしば。
大抵は中途半端に絡んでも苦しい思いをするだけで、少なくとも、投資をする価値はないと言えます。
初心者であれば、人一倍ハンドレンジを絞って戦略を簡略化したほうが、良い結果になりやすいと思います。
参加率は20%前後が目安!
参加率の指標を表すVPIPは6人テーブルで20%前後が適正だと言われています。9人テーブルで18%くらいでしょうか。
前述したとおり、ポストフロップの判断が簡単になるので、最初のうちは、固めのハンドレンジでプレーしてみるのがおすすめです。
アーリーポジションほどタイトにプレーしよう!
一般的に、あなたのポジションが早ければ早いほどタイトにプレーすることになります。後ろに控えている人数が多くなるからです。
例えば、LJの後ろには5人が控えており、自分を含めた6人の中で1番いいハンドを持って参加するには、単純計算で上位1/6のハンドが必要になりそうだと分かります。
一方で、BTNの後ろに控えているのは2人だけなので、上位1/3のハンドがあれば良くなります。
ハンドレンジ表を覚えよう!
手っ取り早くプリフロップをマスターしたいなら、ハンドレンジ表を覚えるのがおすすめです。
有名どころだと、Snowieレンジや、Zerosレンジ、GTOWizardで配布しているハンドレンジ表などがあります。習得しやすいところで言うと、ヨコサワポーカーチャンネルのヨコサワレンジでしょうか。
もちろん、真似る表を変えてみたり、状況に応じてハンドレンジを変えたりしてもOKです。
ポーカーの定石【プリフロップ編】②
ゲームに参加するときはレイズで
プリフロップでゲームに参加するときは、コールではなくレイズで参加するようにしましょう。
プリフロップにコールで参加することをリンプインと言いますが、リンプインは多くの場合悪手です。
理由は大きく分けて2つあります。
- 相手を降ろせないから
- バランスを取るのが難しいから
ポーカーでは、「相手を全員フォールドさせる」ことでもポットを獲得できますが、リンプでは相手を降ろすことはできません。
さらに言えば、リンプインすることで難しい状況に立たされやすくなります。リンプポッドのハンドレンジは広く、相手のハンドを推測するのも難しくなります。
そして、リンプをするとハンドレンジのバランスを取るのが難しいです。
リンプをするということは、相手に「レイズするほどじゃないけど、参加したい手」だとばらすようなものです。レイズする手が強くなりすぎることで、バリューハンドの価値を下げることになってしまいます。
レイズ額の目安
オープンレイズする額は、大体2.5BB~4BBくらいが目安になります。もう少し安い2.2BBオープンが採用されることもあります。
一般的に、オープン額が安ければ安いほど広くレイズすることが可能で、自分の取りたい戦略によって変化させることができます。
初心者の方であれば、3BBにレイズしておけば間違いありません。リレイズする場合も相手のレイズの3倍くらいにレイズすると覚えておきましょう。
ただしSBは例外!リンプもOK!
SBまでフォールドで回り、ブラインドバトルになった時、SBでリンプを選択するのはありです。「コンプリート」と言うこともあります。
BBはSBのレイズに対して広くコールしたり、レイズしたりできるために、相手を降ろせる可能性が減っているからだと考えられます。
この場合、レイズしうるあらゆる手(AAやKKも含みます)を時々リンプすることで、リンプのレンジを構築します。
参考までに、GTOWizardで調べたSBのオープンレンジを見てみましょう。緑がコールです。
ポーカーの定石【プリフロップ編】③
ポジションが悪くなるコールをしない
基本的に、ポジションが悪くなる可能性のあるコールはするべきではありません。
例えば、MPのレイズに対し、COのあなたがコールしました。確かに、あなたはMPにはポジションを取って有利に戦うことができますが、BTNにコールされると途端に状況が悪化してしまいます。
あなたはポジションで不利なBTNとハンドレンジで不利なMPに挟まれてプレーすることになり、非常に難しいポストフロップを戦うことになります。
最悪の場合、後ろのプレイヤーからリレイズを食らい、フロップすら見られないかもしれません。
インポジ確定のBTNはコールOK!
BTN以外のポジションでは、3betかフォールドでプレーすることをおすすめします。
そしてBBも例外!広い範囲でコールOK!
BBだけは例外で、2つの理由で広いレンジでコールすることができます。
- すでにブラインドを払っているから
- コールすれば必ずフロップが見れるから
BBは既に1BBをポストしているため、ほかのポジションよりコールのオッズが良くなります。さらに、コールすることで必ずフロップを見ることができます。
ほかのポジションの場合、後ろからリレイズを受け、ハンドを捨てざるを得なくなることがありますが、BBならその心配はありません。
つまり、BBは投機的なハンドのエクイティをほかのポジションより実現させやすいと言えます。
BBはポストフロップにおいてかなり不利なポジションなのにも関わらず、広くコールできるのはこれらの理由があるからです。
初心者が知っておきたいポーカーの定石(ポストフロップ編)
ここからはポストフロップ編です。ここで、お話しする定石は次の5つです。
- 自分の手の強さを相対評価する
- ブラフハンドの決め方
- CBを積極的に打つ
- 理由を考えてコールする
- ドンクベットを打たない
順番に見ていきましょう。
ポーカーの定石【ポストフロップ編】①
自分の手の強さを相対評価しよう
ポーカーでは手役の絶対的な強さはあまり関係ありません。大切なのは、相手のハンドに勝っているか負けているかです。
セットは、フラッシュもストレートも見えないボードなら最強格のハンドですが、これらが見えた途端微妙なハンドになってしまいます。
逆に、役なしのAハイでも、状況次第で勝ってることも珍しくありません。
それを考えることなしに、手が強いからと攻めていると、相手の手を見て痛い目を見ることになります。
相手の持ちうる手を想像してみよう
相手のアクションや、想定されるハンドレンジから、持ちうる手を想像してみましょう。
出来れば、ブラフハンドとバリューハンドの両方を考えられるといいでしょう。
ボードテクスチャーを確認しよう
ボードテクスチャーを確認することが、ハンドの評価に役立つでしょう。
ここでは、細かい名称に触れることは避けますが、ボードテクスチャーを決める要素を紹介します。
- ボードに出ているハイカード
- ボードの数字のつながり
- ボードのカードのスート被り
- ボードペアの有無
ボードテクスチャーはおおよそこれらの要素で決定されます。
ドローが見えるボードをウェット、見えないボードをドライと表現されます。
簡単に言うと、ドローがなく、ハイカードが出ているとレイズした側が有利になることが多いです。
逆に、コーラーが持っていそうなドローが見えたり、ローカードばかり落ちていたりするとコールした側が有利になることが多いです。
フロップでのボードペアは、お互いペアができにくいなら、Aハイを多く持つアグレッサーに分があると考えレイズした側に有利な要素です。
ポーカーの定石【ポストフロップ編】②
ブラフハンドの決め方
ブラフは基本的に自分の手をショウダウンしたとき、勝てそうにないときにします。弱いペアやAハイなどは、状況によっては勝っていることも珍しくなく、ブラフする優先度は下がります。
とはいえ、勝てそうにないハンドすべてでブラフをしてはブラフの打ち過ぎになるので、ここでは、ブラフハンドを上手に選ぶ2つのコツを紹介します。
ドローハンドでブラフする(セミブラフ)
ドローがあるときに、ブラフするというのが1つの考え方です。あと1枚でストレートやフラッシュが引けるという時にブラフをしようという訳です。
完全にブラフという訳ではないので、「セミブラフ」とも呼ばれます。
セミブラフはたとえブラフで相手を降ろせなくても、捲り目を残すことができます。そして、ドローを引けたときにはポットが大きくなっているので、より大きい利益を獲得できるチャンスにもなります。
ブロッカーでブラフする
もう1つの考え方は、相手の強い手をブロックしている時にブラフをするというものです。
例えば、K♣J♣8♦2♥5♣というリバーにおいて、A♣Q♥持っている時がこれにあたります。
この時、相手の持ちうるフラッシュの組み合わせが減っているだけでなく、相手はナッツのAハイフラッシュを持ちえないことが分かります。
相手が強い手を持っている可能性が相対的に減っている状況なので、ブラフが比較的通りやすい状況だと言えます。
ポーカーの定石【ポストフロップ編】③
コンティニュエーション・ベット(CB)を打ってみよう
-
- コンティニュエーション・ベット(CB・cbet)
前のストリートでレイズしたプレイヤーが続けてベットすること。
- コンティニュエーション・ベット(CB・cbet)
CBはハンドレンジの優位性を主張した、いわゆるレンジベットであり、ベットするレンジにはバリューもブラフも含まれています。
CBを打つことで、自然とバリューとブラフを混ぜた付け込みにくいベットを打つことが可能になるわけです。
プリフロップでSBのプレイヤーがレイズ、あなたがBBからA♠K♥で3betした場面。
フロップでSBのチェックの後、あなたがベットをしたとき、あなたはCBを打ったと言えます。
このハンドでは、SBの相手が降りて、見事$81の利益を得ることができました。
特に、AやKなどのハイカードが落ちている、ドライなボードでは積極的にCBを打って強さを主張するといいでしょう。
相手も、あなたの手にトップペアが多いことが分かっていますから、かなりの圧力になるはずです。
CB・cbetの具体例【ブラフ】 fa-arrow-circle-right
プリフロップでHJのプレイヤーがレイズ(オープン)、あなたがSBから9♦10♦で3betした場面。
HJにコールされ、フロップはA♠J♥4♦。
先程も説明したように、このボードは今あなたが持っているハンドとは関係なく、あなた(レイズ側)に有利なボードです。
そこであなたは、$77のcbetを打ちました。
相手は降りて、見事$111の利益を出すことができました。
この具体例のように、cbetは上手く使いこなすことができたら、長期的に大きな利益を上げることができます。
ポーカーの定石【ポストフロップ編】④
コールするなら理由を考えてみよう
ポーカーでコールするには、コールするに見合う理由が必要です。
コールして次のカードを見ることを初心者はやめられない傾向にあります。しかし、それは長い目で見たらかなり大きい出費になります。
コールする場合は、「コールすることが得になるか」を下記の2点を基準に考えてみましょう。
- 相手のブラフハンドに勝っているか
- 金額がオッズに合っているか
それぞれ詳しく解説します。
相手のブラフハンドに勝っているか
ポーカ―でコールする前に、相手の持ちうる手を想像してみましょう。
後述するオッズの考えを使って必要勝率を求めてみるのも重要な考え方です。
金額がオッズに合っているか
ドローをコールする場合、オッズに合っているかどうか考えます。
例えば、3♣8♣K♥2♦のボードで、$100のポットに$100のベットを受けたとして、あなたはQ♣J♣フラッシュドローを持っているとします。
この時の$100のベットに利益的なコールを必要勝率は約33%になります。
フラッシュドローが引ける確率が大体20%なのでコールすることはオッズに合いません。
フォールドするか、相手のアクションによってはレイズを検討したほうがいいかもしれません。
ポーカーの定石【ポストフロップ編】⑤
ドンクベットをしないこと
-
- ドンクベット
前のストリートでコールした側が、相手のベット待たずに先にベットすること。
- ドンクベット
- 例:MPのレイズに対し、BBがコールしたとき、フロップでBBがチェックせずにベットした場合。
- こっちのレンジが弱いことが多い
- 弱いハンドを降ろして強いハンドにコールされる
コーラーのハンドレンジはアグレッサー側のハンドレンジに比べて弱いことが多いです。
もしコーラーがアグレッサーより強い手を持っているなら、前のストリートでレイズしているはずです。なのでコーラーはベットできるほどの手を持っていないと言えるのではないでしょうか。
また、レイズやベットした側のハンドレンジにはブラフを含めることが出来ますが、コールした側に完全なブラフハンドは基本的に含まれません。
そのため、ドンクベットをしても相手の強い手にはコールやレイズをされ、ブラフハンドには降りられてしまいます。
そんなベットが得にならないのは一目瞭然です。
ドンクベットするならこういう時!
ドンクベットが正当化されるタイミングは、ポーカー用語でいうと、「ボードの変化によって、ナッツアドバンテージができたとき」です。
自分のハンドレンジにとって有利な状況になったとき、はじめてドンクベットを強く使うことができるのです。
COの2.5BBレイズに対し、BBのあなたがコールしました。
あなたのチェックに対し、COはポットの75%のベットを選択し、あなたはコールします。
このような状況の時、ドンクベットの余地があると言えます。なぜなら、あなたは相手に比べ、Jのトリップスを多く持っていると言えるからです。
COはフロップで75%のベットを選択しました。Jのセカンドヒットでのバリューベットにしては、この額は大きすぎます。
それに対し、BBのあなたはJのセカンドヒットを容易くコールできるはずで、BBとCOの間にJを持ちうる頻度の差が生まれていることが分かります。
相手も弱いAヒットでレイズを返すのは難しく、バリューを取りつつ相手をけん制することができます。
とはいえ、最初のうちは「ドンクベットは打たない」と覚えておいて間違いありません。
細かく定石を知りたいなら、ソルバーを使ってみよう
ここまで、ポーカーの定石をお話してきましたが、ここから定石をさらに深く理解するにはソルバーを活用するのがおすすめです。
PioSolverやGTOWizardなどで確認できる解析解を用いることによって、より細かいセオリーを知ることが可能になります。
ここでは、ソルバーを使うメリットを2つ紹介します。
ソルバーを使うメリット①
具体的なアクションが分かる
ソルバーを用いることで、具体的にどのようにプレーするのがセオリーなのかを知ることができます。
CBをどのようなハンドで打つのか、ブラフとバリューをどのようなバランスで打つのか……等々。
その中で、先述したようなセオリーの例外に気づけることもあるでしょう。
ソルバーを使うメリット②
相手が定石から外れていることに気付ける
GTOの解を知っていることによって、相手が均衡解から乖離していることに気付くことができるようになります。
ソルバーからわかるGTOの解は理論上搾取されない完璧な戦略です。そこから乖離しているということは、相手には搾取する何らかのリークがあるということになります。
ポーカーのセオリーを知ってプレーに役立てよう!
ポーカーを極めるにはかなりの学習と経験が必要になります。
しかし、今回紹介した定石は大きく外れることは少ないため、これらの知識があれば100点満点中70点くらいのポーカーが打てるようになるでしょう。
取りこぼした点数は後々、勉強していくことで取れるようになりますよ!